【ハンマーキャスターを知るヒント】モノづくりへの妥協なき姿勢:キャスターが世界を動かす。その自負が、さらなる高みを目指させる 【ハンマーキャスターを知るヒント】モノづくりへの妥協なき姿勢:キャスターが世界を動かす。その自負が、さらなる高みを目指させる

ハンマーキャスターのキーワード:精緻なものづくり 徹底した顧客対応

根っこにあるのは「職人気質」

ハンマーキャスターの歴史は、先々代の曾祖父が始めた小さなプレス工場として始まった。
曾祖父の印象を吉田社長はこう語る。
「朝工場へ入ったら、いっさい無駄口をたたくことなく黙って仕事。とにかく、根っからの職人だったようですね」。
そのころは、まだ建築金物を細々作っていたに過ぎなかった。その後キャスターを製造することを決め、専業メーカーに。
昭和46年、社名も「吉田金属工業」から「ハンマーキャスター」に変え、キャスターひと筋に徹することに決めた。日本を代表するトップメーカーとして大きく躍進を遂げた今も、創業当時の職人気質は全社に息づいている。

「キャスターというのは、すべての産業の礎なんです」と社長は語る。
いくらインターネットが普及しようとも、物流が生活の基本であることは動かせない事実。モノが動いてこそ人は生きていくことができる。世の中に荷物がある限り、キャスターは簡単にモノを運ぶための最終的な手段として、なくてはならない存在であり、これを支えるナンバーワン企業であり続けることが、ハンマーキャスターの自負であり使命であると考える。

美しいこと=高品質であること

物流を、経済を、一番下で支える土台として欠かせない存在であるキャスター。その品質を担う企業精神は担当者の言葉から読み取ることができる。
「機能と美しさはイコールだと思っています。ぱっと見た瞬間に『きれいだな』と思ったら、だいたい動きもなめらか。逆にバリが出ていたり、不格好だったりすると動きも悪いことが多い」そう語るのは技術開発部で加工を担当する長井。

「仕上がりの美しさに対するこだわりは、入社してから先輩に教わりました。ハンマーキャスターの商品をつくるうえでの基礎になる考え方だと思います」。
単に言われたとおりのカタチをつくって、機能さえ果たせば良いということではない。見た目が美しければ、動きも手触りも断然違ってくるのだと言う。
「先輩から受け継ぎ、また私も後輩へと引き継いでいかないといけない伝統みたいなものです」。
無駄を削ぎ落とし、磨きあげられた美しいパーツ。それらが精緻に組み合わさることでつくられるキャスターは、動きがスムーズで扱いやすく、製品の安全性と品質も兼ね備える。
「私たちにとっても、うちの商品は美しいな、きれいだなと思えることは幸せなことですし、誇りでもあります」。

もちろん、そのような考え方が通用しないときもある。動けばそれでいい、キャスターに美しさなど必要ないという考え方である。むしろ海外ではそんな考え方のほうが主流ではないだろうか。それでもハンマーキャスターの製品は美しい。創業以来、社員一人ひとりにいたるまでそのポリシーが脈々と受け継がれている。

「我々がこだわっているのは、『品質』と『お客さまへの安定供給』この2つだけです」。 何でもないことのように吉田社長は言う。
「ハンマーキャスターでは、ほとんどの部品を日本国内で生産しています。でも別に国内生産にこだわっているわけではないんです。もし他でこの2つの条件を満たせるのであれば、それを使うこともあり得る。ただ、今のところ、国内生産でしか『品質』と『安定供給』、この条件を満たすことはできないから、結果的にこういう体制になっているだけなんです」。
キャスターとしての品質を追い求めた結果の国内生産であり、高品質(美しさ)である。ハンマーキャスターのモノづくり精神には、日本の繊細な美意識が背骨のように一本ピンと筋が通っている。

五感を研ぎすまし、ミクロの差を見逃さない

「キャスターは精密部品なんです」と製造部でプレス部門を担当する下農は言う。
「一つひとつの部品が正確でないと、組み合わさったときに誤差が大きくなり、動きに支障をきたすことも。だからプレスの段階では、同一ロットの連続加工精度を10ミクロン以内の範囲に抑えています。同じ仕様で材料を発注していても、入荷する材料はある程度厚みに変動があります。だからその辺りの微調整を加工のほうで一定化させるようにしています。見た目では分からなくても、音や気配で何となく『ん?おかしいな』と気がつく。10年以上やっているとだいたい分かってきます」。

「ハイテクかローテクかで言えば、うちはローテク」と語るのは吉田常務だ。
刺身にたとえるなら、プレスが板前さんの手、金型が包丁、材料が魚だという。朝のうちは包丁も研ぎたてだから刺身もきれいに切れる。それが夕方になると切れ味が悪くなる。でも包丁を研ぐ時間はない…。デキる板前なら切り方を変えて対応する。そうすることで、朝と同じ品質の、おいしい刺身に仕上げるのだという。

五感を活用して材料や機械の声を聞き、条件に合わせ微妙に調整して一定の品質を保ち続ける。そこでは、経験を積んでこそ得ることができる職人技が要求される。
「機械の前に座ってボタンを押すことが仕事ではない。我々の仕事はいい製品を作ること。それを理解している人だけができることなんです」と力強く語った。

ミスの芽は根本から断つ

他社に比べ、クレームが極端に少ないことでも名を馳せるハンマーキャスター。工程ごとに必ずダブルチェックを行い、ミスを未然に防いでいる。それでも起こってしまったミスは真摯にうけとめ、徹底的に対応する。

「何らかの不良があった場合、うっかりミスが不運にもたまたま重なった、というようなものであることが多い。人の手で作られるものですから、人為的なミスの可能性をゼロにすることは難しいんです。では次にそれを防ぐにはどうするか?
現場では、徹底的に人為ミスが入り込む余地をなくすことを考えます。機械や金型でミスを防ぐよう設計段階から再検討したり、何かミスがあれば、エラーで機械が止まるような仕組みを作るんです。誰が担当しても同じミスが二度とないように」

ミスが起こった当初は現場も注意するが、それだけでは時とともに少しずつ風化していく。だからもし意識が薄れてしまっても、どこかで歯止めが利くようなシステムを構築するのだと下農は言う。
日々品質への挑戦を続けている彼らにとって、不良品を出すことは屈辱にも等しい。だからこそ同じミスは二度と起こさない、そんな強い決意がにじんでいる。

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